月次決算とは?採用する利点とプロセスについて
事業の決算月に行われる『年次決算』は企業が年に1回行うものとして義務付けられております。対して毎月、決算を行う『月次決算』は任意にも関わらず導入している企業が少なくありません。月次決算には相応の労力が必要ですが、年次決算の負担の低減、状況に応じた迅速な意思決定が行えるという利点があります。
本記事では月次決算を検討している経理・会計担当者向けに、月次決算を行う利点とプロセスを列挙し、月次決算を効率的に行うポイントを記載しています。
目次[非表示]
- 1.月次決算とは?
- 2.月次決算を行う利点
- 2.1.年次決算の負荷を軽減できる
- 2.2.財政状況に応じた意思決定を月次単位で行える
- 3.月次決算の業務プロセス
- 3.1.現預金や残高のチェック
- 3.2.在庫や棚卸資産のチェック
- 3.3.固定資産のチェック
- 3.4.売掛金・買掛金のチェック
- 3.5.仮払金・仮受金のチェック
- 3.6.未払金・預り金のチェック
- 3.7.借入金のチェック
- 3.8.月次決算にかかる資料の作成
- 3.9.月次決算のレポート
- 4.月次決算を行う際のポイント
- 4.1.各種帳票類の締め切り日を共有する
- 4.2.月次決算の業務フロー、やることリストを整理する
- 4.3.クラウド型システムで効率化する
- 4.3.1.クラウドERP「freee会計」
- 4.3.2.クラウドERP「マネーフォワードクラウド」
- 4.3.3.請求書受領システム「BillOne」
- 5.まとめ
月次決算とは?
月次決算とは、単月で行う決算業務のことです。事業年度の最終月に行う決算は年次決算と呼ばれています。月次決算を行うことにより、企業は毎月の利益、営業成績、および財政状態を把握することができます。また、企業の経営状態を月間という単位で分析することで速やかな経営判断に反映させることができます。加えて、年次決算業務の負担をならすこともできます。月次決算自体は、年次決算のように実行が必須であるものではないため、あくまで任意となっておりますが、経営上の利点があるため多くの企業で年次決算に加えて、月次決算を行っています。
以下に、月次決算を採用する利点や月次決算のプロセスを解説いたします。
月次決算を行う利点
最初に月次決算を行う利点を説明します。
年次決算の負荷を軽減できる
1年に1回の年次決算業務では、1年間の会社のお金の流れや負債・資産など、すべての会計業務を精算します。1年分の経費精算で発生した領収書や、お取引相手とやりとりした納品書・請求書、加えて仕訳情報を記帳した帳簿類を総点検し、決算月に決算書にまとめあげるには、非常に大きな工数を要します。月次決算を行うことで、決算業務を月単位で毎月精算できていると、年次の際の業務負荷を前もって軽減させることができます。
財政状況に応じた意思決定を月次単位で行える
月次決算を行うと、財政状況に応じた意思決定を月単位で行えるようになります。月単位で債務・債権の精算を徹底し、売上や利益、支出などの実績を整理すると、月単位で予算とののギャップを検討し分析できるので、事業計画や資金繰りを含めた財務戦略を月単位で修正することが可能です。
月次決算の業務プロセス
月次決算のプロセスにつきましては、会社独自のプロセスが存在していたり、会社規模によっても異なる事柄になります。
以下に月次決算の業務プロセスの一例を記載しますが、あくまで参考情報としてご確認いただけますと幸いです。
現預金や残高のチェック
まずは、帳簿の残高と現預金の残高が一致しているかを確認します。
現金については、現金出納帳と金庫などに保管している現金残高を比較しましょう。
預金は、通帳を記帳しに行き、預金通帳の残高と帳簿の残高が一致しているかチェックします。もし、残高に不一致があった場合は、関係者に確認し原因を特定の上、改めて会計処理を行いましょう。
在庫や棚卸資産のチェック
月末に社内・社外に保管している製品在庫と帳簿在庫に不一致はないか、確認しましょう。また不良品や納品ミスなどで返品扱いになっている製品はないかも併せて確認しておくと良いでしょう。
固定資産のチェック
年間の減価償却費や引当金を1か月分として12分割して計上しているか確認しましょう。
資産の取得価額によって減価償却が必要かどうかに変わります。固定資産の会計処理において、少額減価償却資産(30万円未満の減価償却資産)、一括償却資産(20万円未満の減価償却資産)、10万円未満の資産において適切に処理ができているか確認しましょう。
売掛金・買掛金のチェック
未回収の売掛金や未払いの買掛金が無いかを帳簿や金融機関における入出金情報などから確認しましょう。未回収の売掛金や未払いの買掛金が合った場合は、担当者・関係者にリマインダーし、回収、支払いの目途が立っているかも併せて確認しましょう。
仮払金・仮受金のチェック
内容や科目不明の入金、使途や金額が不明確な出金について一時的に仮払金や借受金を摘要していた明細について確認をしましょう。
仮受金や借受金では一時的な措置になりますので、担当者に確認を行いできるだけ早く適切な勘定科目に振替処理をしましょう。
未払金・預り金のチェック
源泉所得税や住民税、社会保険料などの預かり金や、支払義務が確定している分割払、クレジットカードの購入、車や設備のリース代などの未払金において、帳簿残高と不一致が無いか確認しましょう。
借入金のチェック
借入金の主な種類は「証書貸付」「手形貸付」「手形割引」「当座貸超」です。短期借入金・長期借入金の項目に区分して管理しましょう。
借入金には返済とともに利息の支払義務があります。元金と利息について適切に会計処理ができているか確認しておきましょう。
月次決算にかかる資料の作成
事業計画、財務戦略に必要と思われる資料を作成します。月次決算書として用意される資料としては、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)を初め、以下の書類があげられます。
予算実績対比表/資金繰り表/受注残高表/在庫一覧表/経費推移表/売上高推移表/費用明細表/
売掛明細表
※月次決算書に準備する資料は企業毎に異なります。
月次決算のレポート
上記の月次決算書の資料をもとに事業計画、財務戦略を行う経営層にレポートします。
傾向の把握と対策を検討するために比較資料として、年間計画や前年度と同じ月の決算書を準備できるとなお良いでしょう。
月次決算を行う際のポイント
各種帳票類の締め切り日を共有する
月次決算では迅速に決算業務を行える体制作りが重要です。必要書類にあたる領収書・納品書・請求書などの発行・受領が遅れないように月次決算用の提出日を設定し社内のみならず、お取引相手様などの社外にも共有しましょう。月末のデータ整理や精算が行えるようにバッファを設けられるとより確実に月次決算業務を進められます。
月次決算の業務フロー、やることリストを整理する
受領した各種の必要書類の処理について業務フローや、やることリストを作成しておくと、ミスなくスピーディーに月次決算業務を進められるようになります。遅延や漏れの対策として各担当者と月次決算タスクの進行状況がわかるように可視化できると良いでしょう。
クラウド型システムで効率化する
最後にクラウド型システムで効率化する方法をいくつかご紹介します。
システムを導入し経理・会計業務を電子化・自動化することで忙しい月次決算業務の負担を大幅に軽減することができます。以下に経理・会計業務を電子化し自動化できるクラウドシステムを記載いたします。
クラウドERP「freee会計」
「freee会計」は入出金明細の自動連携、経費精算、請求書の受領・発行・消込など経理会計領域を幅広くカバーしており、クラウド上に一元管理できるため忙しい月次決算も効率化できるクラウドERPです。
クラウドERP「マネーフォワードクラウド」
「マネーフォワードクラウド」はバックオフィスに関する様々なデータを連携し、業務を自動化することができます。バックオフィス領域全体をカバーするパッケージ製品と単体製品からご利用いただけますので、給与計算、社会保険、経費精算、請求書の受領・発行など経理会計領域を部分的に効率化していくことができます。
請求書受領システム「BillOne」
あらゆる請求書をオンラインで受け取り、企業全体の請求書業務を加速するインボイス管理サービスです。
受領した請求書は、極めて正確にデータ化、クラウドで共有されるので
ブラックボックス化しがちな、請求書の処理状況を見える化し月次決算を加速します。
まとめ
月次決算の概要から利点、プロセスについてご紹介いたしました。月次決算を新たに導入する経理部門としては導入する労力がかかりますが、年次決算の負荷を軽減できる点や、迅速な経営判断を行えるなどの利点があります。月次決算を行う際のポイントに記載したような提出日の共有の徹底、月次決算の業務フローとやることリストの作成が月次決算の効率的な運営に参考になれば幸いです。
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