【2023年】年末調整における法改正について解説~CSCおすすめの年末調整電子化の製品もご紹介~
人事総務の担当者にとって年末の一大イベントとなる「年末調整」の時期が近づくと、「今年はどんな変更があるのか…」と気になる担当者も多くいらっしゃると思います。
業務の基本的な流れについては大きくは変わらないものの、毎年何らかの変更点が発生します。2023年分の年末調整の申告内容は、2020年度および2022年度の税制改正により、基本的な業務のほかに今年は3つの変更点があり、どちらにも対応する必要があります。
本記事では、まず年末調整の業務とはどういうものなのかといったところから、2023年分の年末調整の変更点の解説、クラウド型の年末調整システムで対応するメリットやシステム選定のポイントを解説いたします。
最後にCSCでおすすめの法改正に対応したクラウド年末調整製品をご紹介いたしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次[非表示]
- 1.年末調整とは?
- 2.年末調整を処理する際の通常業務
- 3.2023年の3つの大きな変更点
- 3.1.非居住扶養親族の適用要件の変更
- 3.2.「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄の追加
- 3.3.住宅ローン控除区分の追加と変更
- 4.クラウド年末調整の製品で対応するメリット
- 4.1.法改正への対応
- 4.2.管理者・従業員双方の工数削減
- 4.3.属人化の防止
- 5.クラウド年末調整システムの選定ポイント
- 6.CSCでご紹介可能な年末調整システム
- 6.1.SmartHR
- 6.2.ジョブカン労務HR・ジョブカン給与計算
- 6.3.ジンジャー人事労務 年調収集
- 6.4.HRBrain労務管理システム
- 6.5.マネーフォワードクラウド年末調整
- 7.まとめ
年末調整とは?
まず、年末調整とは?というところを簡単にご説明できればと思います。
「年末調整」とは、企業が従業員/給与所得者から源泉徴収した所得税と、正しく支払うべき所得税を調整する作業のことを指します。
所得税は1年間の所得が確定しないと正確な金額を出せません。
そのため、企業は概算で源泉徴収し、その年の最後の給与が確定してから過不足を精算します。
精算した結果、所得税を取り過ぎていたことが判明した場合は従業員に還付し、不足していれば追加徴収する。この業務が年末調整です。
画像引用:CSC作成「2023年の年末調整の変更点も解説!年末調整の業務DXセミナー」の資料より抜粋
年末調整を処理する際の通常業務
具体的なステップを、従業員側・管理者側としてご説明します
画像引用:CSC作成「2023年の年末調整の変更点も解説!年末調整の業務DXセミナー」の資料より抜粋
<STEP1>
管理者は、扶養控除等(異動)申告書といった必要書類を国税庁のHPからダウンロードして印刷、または税務署からもらってくるなどし、従業員に配付します。原本提出の際の台紙なども適宜用意をしておく必要があります。
<STEP2>
・従業員側
従業員は、それらの必要書類に自身の情報や扶養者の情報について記入していきます。生命保険などに加入している場合は、保険会社からはがきなどで届く控除証明書の情報を基に金額を記入します。そして、それらの金額に間違いないか確認する為、従業員はそれら書類や保険料控除証明書の原本を郵送、または手渡しで担当者に提出します。
・管理者側
管理者は書類を回収し、記入された内容に間違いがないかを確認し、年末調整の還付金の計算を、給与計算システムなどを用いて行います。
<STEP3>
管理者は、1年間の給与額の合計や、その給与より徴収した所得税額、税理士や弁理士など外部へと支払った1年間の報酬、その報酬より徴収した所得税額等が記載された「支払調書」「源泉徴収票」などを、翌年の1月31日までに作成し、提出する必要があります。
市区町村には、給与や賞与などの1年間の金額や社会保険料控除などの所得控除額などが記載されている「給与支払報告書」を提出する必要があります。税務署や市区町村への提出はe-taxやeLTaxを用いて電子申請できるようになっています。
しかしながらまだアナログにて運用している、または社内でのリソース不足により、外部にアウトソースしているといった企業も少なくないようです。
2023年の3つの大きな変更点
煩雑且つ工数がかかる「年末調整業務」ですが、2023年より、3つの大きな変更点があります。
変更点を理解しないまま年末調整に関する申告書を勤務先へ提出してしまうと、控除が適切に受けられないといった問題が出てきますので、しっかり把握した上で対応していく必要があります。
それでは、3つの変更点について解説していきます。
非居住扶養親族の適用要件の変更
まず、1つ目の変更点は「非居住扶養親族の適用要件の変更」についてです。
国内に住所がない扶養親族、30歳以上70歳未満の非居住扶養親族の扶養控除要件が厳しくなり、「障碍者」「留学で非居住扶養親族になった人」「その年に扶養者から38万円以上の生活費や教育費をもらっている人」という条件に、いずれも"当てはまらない"という人が除外されました。
ほかにも、留学により非居住扶養親族になった人と、扶養者からその年に38万円以上の生活費や教育費をもらっている人を扶養控除の対象とする場合、「要件を満たすことを証明できる書類を提出する必要がある」といったルールも追加されました。
尚、これらに必要な書類については、38万円以上の生活費や教育費をもらっている人が条件となるため「38万円送金書類」といった呼ばれ方もしています。
「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄の追加
2つ目は「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄の追加です。
2023年から「扶養控除等(異動)申告書」の様式に変更があり、「住民税に関する事項」に「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」という欄が追加されました。
変更されたのは、"住民税控除の適用が漏れている見逃されているケースが多い"といった理由からです。
納税者に退職金をもらった配偶者や扶養親族がおり、配偶者・扶養親族全員の合計所得が退職所得を含めず48万円以下になった場合、住民税にて配偶者控除・扶養控除を受けることができます。
住宅ローン控除区分の追加と変更
3つ目は「住宅ローン控除区分の追加、変更」についてです。
住宅借入金等特別控除とも呼ばれていますが、住宅ローン等を利用し、マイホームの新築や増改築した際に受けられる税制優遇措置における変更点です。
改正前の借入れ限度額は4,000万円まででしたが、住宅の種類によっては5,000万円までに増えました。
また、控除率については「建物の取得価格/上限4,000万円×2%÷3から、年末時点の借入れ残高が0.7%に引き下げられる」などがあります。
その他、適用対象の所得要件は、3,000万から2,000万以下に引き下げられますので要件が厳しくなっています。
詳細については以下国税庁HPをご確認ください。
クラウド年末調整の製品で対応するメリット
上記のような法改正が入るたびに、従業員にも正しい周知をしなければならなかったり、従業員から「この場合はどう書けばよいですか?」「この場合は何の書類を提出すればよいですか?」といった問合せも対応する必要があり、管理者の負担は大きいと思います。
そこで、こういった様々な課題を解決できるのが、クラウド型年末調整システムです。
年末調整の電子化は現状義務ではありませんが、紙での収集には時間も手間もかかり、労力と対価が見合わない、コストパフォーマンスが良くない、といったデメリットが発生してきます。
そこで、クラウド型年末調整システムを利用して対応する場合の3つのメリットをご紹介いたします。
法改正への対応
1つ目は「法改正への適切な対応が可能になる」という点です。
今後も法改正が行われる可能性が十分ありますので、都度対応することには運用上の工数を圧迫する懸念が残り続けます。
クラウド型のシステムであれば、今後改正が施行されても、常に法令に準拠したサービスが提供される為、社内担当者の負担も軽減されます。また、法令対応のための新機能を利用するための追加費用はかかりません。
尚、今後2024年以降にも法改正が控えております。例えば、国外居住親族への「送金関係書類」の提出類の範囲が追加されたり、保険料控除申告書記載事項が簡素化されるなどがあります。
早めにクラウド型システムを導入することが推奨されます。
管理者・従業員双方の工数削減
2つ目は「管理者・従業員双方の工数削減」が実現できます。
書類の作成、収集、保管といった手続きが電子化されることで、紙ベースの書類管理にかかる手間や時間が省かれます。
また、デジタルデータは場所を取らず、何度でも再利用でき、検索も容易です。
これにより、年末調整に関わるすべてのステークホルダーの業務効率が向上します。
属人化の防止
3つ目は「属人化を防止することが可能」となる点です。
年末調整手続きの電子化により、その手続きが特定の人に依存する状況、いわゆる「属人化」を防ぐことができます。
電子化により一貫性のある手続きが可能となり、誤って削除するといったトラブルも防ぐことができます。
加えて、事務手続きの透明性も向上し、業務の引き継ぎもスムーズに行うことが可能です。
クラウド年末調整システムの選定ポイント
このように多くのメリットがあるクラウド型システムですが、市場には様々な種類のシステムが出ています。
それらを選定する上で、選定ポイントとなってくるのは大きく3つです。
機能面
まず「機能面」についてです。
例えば、還付金の計算まで1つのサービスでできるものもあれば、別システムを使用しなければならないサービスもあります。
1つのシステム内でどこまでカバーしたいのか、最も工数がかかっているのは年末調整においてどの業務なのかといった洗い出しを事前にした上で、どこまでの機能が欲しいのかを見極める必要があります。
セキュリティ
次に「セキュリティ」面についてです。年末調整の際には従業員の個人情報を扱いますので、セキュリティ面は非常に重要になってきます。
クラウド製品のほとんどはその点を考慮されているかとは思いますが、セキュリティ対策がしっかりとされているかを事前に確認しておくとよいでしょう。
各システムとの連携
最後に、「各システムとの連携」です。前述の機能面についての内容と少し重複しますが、還付金の計算は他システムで行う・源泉徴収票は他システムで配布しなければならないといった場合がありますので、連携の可否については事前に確認しておく必要があります。
一般的に年末調整システムと連携することが多いのは給与計算システムになってくると思いますので、既にお使いの給与計算システムとCSVまたはAPI連携が可能なのか、などは選定の大事なポイントになるでしょう。
CSCでご紹介可能な年末調整システム
上記のようなメリットがあるクラウド年末調整システムですが、CSCにて支援が可能な5つの製品をご紹介いたします。
SmartHR
「SmartHR」は、労務管理クラウド5年連続シェアNo.1のクラウド人事労務ソフトです。
雇用契約や入社手続き、年末調整などの多様な労務手続きをペーパーレス化し、データとして蓄積できます。
また、勤怠管理システムや給与計算システム等との連携により、様々なデータの一元管理も可能です。
さらに、「SmartHR」に溜まった従業員データを活用した「人事評価」「従業員サーベイ」などの人材マネジメント機能により、組織の活性化や組織変革を推進できます。
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ジョブカン労務HR・ジョブカン給与計算
「ジョブカン労務HR」「ジョブカン給与計算」は、CSCでご支援可能な製品の中で唯一、労務管理サービス・給与計算共に年末調整が行なえるプロダクトです。年税額の計算は給与計算システムで行なうといったケースが多いですが、ジョブカン労務HRでは、入退社手続の効率化、帳票作成から提出までサポートし、人材管理機能も搭載しております。安否確認や出社確認に使える便利な通知機能、ストレスチェックの一般敵な労務機能の他、ペーパーレス年末調整機能として年税額の計算も可能となっております。セットで契約することで、入退社手続き・給与計算・年末調整の工数削減が実現できます。
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ジンジャー人事労務 年調収集
ジンジャー人事労務のオプションである「年調収集」機能ですが、単独でのご契約が可能となりました。
ジンジャー人事労務 年調収集では、年末調整に必要な情報を電子で収集後CSVにて出力し、他社の給与計算システムに取り込んで年税額の計算を実施することが可能となる製品です。
年調収集単体では年税額の計算が行なえませんので、前述の通り他社システムと連携させるか、ジンジャー給与計算と併用することで年税額計算→源泉徴収票の発行まで実現可能となります。
ジンジャー給与であればジンジャーシリーズ統合データベースの連動が可能ですので、他社システムとの連携よりも、よりシームレスな活用が可能となります。
HRBrain労務管理システム
HRBrain労務管理は、入退社手続きや年末調整で発生する業務をペーパーレス化し、人事労務業務の効率化を実現する労務管理クラウドです。煩雑な「年末調整」も、オンライン上でフォームに表示される設問に回答するだけで完結し、従業員の負担も軽減いたします。
また、労務手続きで収集した人材データをHRBrainシリーズのタレントマネジメント機能と連携することで、人材データの分析・活用までをシームレスに実現します。人材育成や離職防止などの人事施策の最適化も可能になります。
マネーフォワードクラウド年末調整
「マネーフォワードクラウド」は、年末調整に必要な書類の配布・回収から年税額の計算、e-Tax ・eLTAXでの電子手続きまで、年末調整業務のすべてをクラウド化することができる製品です。また、年末調整対象者となる従業員は自動判定でき、各種控除額の計算や所得金額計算といった煩雑で工数がかかる業務も、すべてを法令に準拠しながら自動で行うことが可能です。
まとめ
本ブログでは、年末調整の業務内容や課題感、そして2023年の変更点について解説しました。
年末調整では、ミスのない正確な対応が担当者には求められます。
2023年の法改正のような法令遵守への理解も必要であり工数も多く負担が大きい業務ですが、法改正にしっかりと対応したクラウド製品で、確実でミスのない年末調整が行え、且つ工数も削減できるといったメリットがたくさんあります。
また、空いたリソースで他の業務を行うことも可能となりますので、生産性向上も実現できることでしょう。
本ブログでご紹介いたしましたクラウド年末調整製品について「機能についてもっとしっかり聞いてみたい」「デモを見てみたい」といったご要望がございましたら、お気軽にクラウドサービスコンシェルジュにお問合せください。