
熊本市が実践するCanva活用術|著作権管理の負担を軽減しながらモダンなデザインを実現
政令指定都市である熊本市では、約6,500人の職員が働き、約300の課が市民サービスを提供しています。
同市では従来、紙媒体を前提としたコンテンツ制作が主流でしたが、デジタルネイティブ世代の増加に伴い、SNSなどを通じたモダンなデザインのコンテンツ提供が急務となっていました。
本記事では、クラウド型デザインツール「Canva」を導入し、職員の負担軽減とコスト削減を実現した熊本市の事例をご紹介します。
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熊本市が抱えていたコンテンツ制作の課題
熊本市では、紙媒体からSNSなどのデジタルへの出力先移行に伴い、よりモダンなデザインのコンテンツを効率的に作成したいというニーズがありました。
しかし、既存のアプリケーションで制作したデザインは紙への出力を前提に設計したものが多く、素材なども古くなっていたため、新たなビジュアル作成には多大な手間と時間がかかっていました。
デジタルネイティブ世代への対応が急務に
従来は紙媒体を前提とした制作が主流で、主にデジタルに不慣れな世代を対象としていました。
しかし近年は、デジタルネイティブ世代の増加に伴い、SNSなどを通じてデジタルコンテンツを提供する機会が増えています。
多くの課では配布されたノートパソコンとオフィスアプリケーションを使ってコンテンツが作成されていましたが、長年使い回してきた素材に依存していたため、モダンさに欠けていました。
市民、特に若い世代に向けた情報発信をより効果的に行うためには、時代に合ったデザインのコンテンツが求められていました。
フリー素材利用時の著作権確認の負担
コンテンツ制作において、もう一つ大きな課題となっていたのが著作権管理です。
著作権侵害を避けるため、素材の選定や規約の確認に多くの時間を費やしており、「著作権を侵害してしまうのではないか」というプレッシャーが職員の心理的負担となっていました。
フリー素材を利用する際も、商用利用の可否や利用規約の詳細確認が必要で、コンテンツ制作以前の作業に時間を取られていました。
本来であれば、市民に届けるメッセージの内容や表現方法を考えることに時間を使いたいところですが、著作権確認という事務作業に多くのリソースが割かれていました。
Canva導入の決め手とその特徴
こうした課題を解決するために導入されたのが、クラウドベースのデザインツール「Canva」です。Canvaはアカウントを作成するだけで利用でき、豊富なテンプレートや素材により簡単にモダンなデザインが作成できる点が高く評価されました。
一般的なビジネスパーソンでも高品質なコンテンツを制作できるツールとして、デザインに不慣れな職員でも手軽に取り組めることが大きな特徴です。
テンプレートから始められる手軽さ
Canvaでは、用意されているテンプレートから制作を始めることができるため、「自分はセンスがなくて…」というクリエイティブなツールが苦手と感じていた職員でも手軽に取り組めています。
また導入担当者が以前に約100人の職員を対象に無料版のCanva導入に携わった経験があり、導入のしやすさやユーザーのスキルを問わず使える点を理解していました。この経験が、今回のスムーズな導入につながりました。
ブランドキットによる企業ブランドの統一
ビジネス版に用意されている「ブランドキット」は、企業のブランドガイドラインに適応した自前のテンプレートを従業員に活用してもらうことができる機能です。
これにより、高品質なデザインのコンテンツを内製することが可能になり、デザインの統一性を保ちながら効率的にコンテンツを制作できるようになりました。
熊本市としてのブランドイメージを保ちつつ、各課が独自にコンテンツを作成できる環境が整いました。
ブランド機能についてはこちらの記事で詳しく解説していますので併せてご覧ください。
⇒ Canvaのブランド機能で社内デザインを統一する方法
熊本市におけるCanva導入の進め方
熊本市では、Canvaの最上位プランである「エンタープライズライセンス」を40ライセンス分試験的に導入し、特に必要性の高い課に優先的に割り当てました。
多くの職員がすでにCanvaの存在を知っており、一部は無償版を使っていたため、全庁的な活用に向けて利用ルールの整備や職員向けの講習から着手しました。
エンタープライズライセンスの試験導入
最上位プランのエンタープライズライセンスを選択することで、商用利用可能なテンプレートや素材の選択肢が大幅に増加しました。
無償版では他の自治体とデザインが重なってしまうこともありましたが、エンタープライズ版では選択肢が非常に多く、オリジナリティを保てるようになりました。
熊本市独自の個性を表現できるデザインの幅が広がったことで、より魅力的な情報発信が可能になりました。
エンタープライズプランの詳細については以下の記事をご覧ください。
⇒ Canvaエンタープライズプランの魅力とは?ビジネスに最適な機能を紹介
クラウドサービス利用時のルール整備と職員教育
クラウドにデータが出ていく仕組みであることから、部外秘データを扱わないといった基本的なルールを周知しました。
セキュリティ面での懸念を払拭するため、明確なガイドラインを設けることが重要でした。
また、担当職員自らが講師となって講習を実施し、Canvaを使いこなすコツを職員に伝えることで、スムーズな導入を実現しました。
実際に使った経験がある担当者が直接指導することで、職員の不安を解消し、積極的な活用を促すことができました。
職員満足度94%を実現した5つの成果
Canva導入により、熊本市では具体的にどのような成果が得られたのでしょうか。ここでは、5つの主要な成果をご紹介します。
①SNS投稿頻度が週1回から週2回程度に増
人事委員会事務局の担当者によれば、モダンなコンテンツを短時間で作成できるようになり、一つひとつの作業時間も短縮されました。
従来は週1回程度だったSNS投稿が、クオリティをアップさせながらも週2回程度に増やすことができ、求職者の関心を高めるための情報発信力が大幅に向上しました。
投稿頻度が増えたことで、求職者等とのコミュニケーション機会が増え、より身近な存在として認識してもらえるようになりました。
②動画編集もCanva一つで完結し作業効率が向上
従来は別のツールを呼び出して編集していた動画の編集も、Canvaでできるようになったことも大きなメリットとなりました。
静止画をつなげて動画にするといったコンテンツもCanvaだけで作成できるようになり、ツール間の移動時間が削減され、コンテンツの内容を考えることに注力できるようになりました。
複数のツールを使い分ける煩雑さから解放され、クリエイティブな作業に集中できる環境が整いました。
Canvaでの動画作成方法については以下の記事をご覧ください。
⇒ Canvaでショート動画を作る方法|セールのお知らせを例に解説
③フリー素材利用時の著作権管理の負担を大幅に軽減
北部まちづくりセンターの担当者は、Canvaの商用利用可能なテンプレートや素材を活用することで、著作権侵害を避けるための素材選定や規約確認にかかる時間が大幅に減少したと語っています。
著作権を侵害してしまうのではないかというプレッシャーから解放されたこともあり、心理的負担が軽くなったことで業務効率が向上しました。
安心して素材を使える環境が整ったことで、職員はより創造的な業務に取り組めるようになりました。
Canvaの商用利用についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
⇒ Canva商用利用ガイド|安心して使うための基礎知識
④職員満足度94%を達成し大規模導入へ
試験導入から3ヶ月後、エンタープライズライセンスを試験利用している約40名の職員を対象にアンケートを実施しました。
「Canvaを使って成果物の質は向上しましたか?」という設問では、「向上した」が88%、「どちらかといえば向上した」が12%と、回答者全員が何らかの成果を感じていました。
⑤デジタルコンテンツだけでなく紙媒体でも高い満足度
Canvaの活用はデジタルコンテンツだけでなく、紙のチラシやポスター制作にも広がっており、従来型の用途でも満足度は高い結果となりました。
「来年度も有償版を継続したいか?」という設問に対し、94%の職員が継続を希望しており、改革プロジェクト推進課の担当者は「大規模な本格導入に向け、前向きに検討していきたい」と語っています。
まとめ:Canva導入で実現する業務効率化とコスト削減
熊本市の事例では、Canva導入によりSNS投稿頻度の倍増、動画編集の効率化、著作権管理の負担軽減など、多岐にわたる成果が実現しました。職員満足度94%という高い評価を得て、大規模な本格導入に向けた検討が進んでおり、自治体や企業がCanvaを活用することで、職員の負担を軽減しながらモダンなコンテンツを効率よく作成できることが証明されました。
デジタル化が進む現代において、市民や顧客とのコミュニケーションにおいてビジュアルコンテンツの重要性はますます高まっています。
熊本市の事例は、限られたリソースのなかでも、適切なツールを導入し、職員教育を丁寧に行うことで、大きな成果を上げられることを示しているといえるでしょう。
今後、同じような課題に直面している自治体や企業にとって、熊本市の取り組みは非常に参考になるはずです。
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