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BCP対策最前線!災害や障害時もデータの保護と業務ができるサーバーガイド

地震や停電、システム障害などの非常時でも、企業の重要データを守り、業務を継続できる体制づくりが求められています。BCP(事業継続計画)の中でも、サーバーの冗長化やクラウド活用は欠かせない要素です。

本記事では、BCP対策におけるサーバーの役割から、Dropboxを活用した具体的な対策までを解説します。

目次[非表示]

  1. なぜ今、サーバーのBCP対策が必須なのか?
    1. 企業がBCP対策に取り組むべき理由と背景
    2. 災害や障害がサーバーに与える影響
    3. BCP対策におけるサーバーの定義と範囲
    4. IT-BCPとの違い
  2. BCP対策サーバーの種類と選び方
    1. 3つのサーバーの特徴とは
    2. 具体的な3つのBCP対策
    3. サーバー選定のチェックリスト
    4. コストと効果のバランスを考える
    5. 専門家への相談と導入支援
  3. BCP対策の要!サーバーの役割と実現する技術
    1. RPO目標復旧時点とRTO目標復旧時間の設定
    2. リアルタイムレプリケーションと同期バックアップ
    3. ディザスターリカバリー(DR)サイトの構築
  4. インフラBCPを補完するデータ保護の重要性
  5. BCP対策に有効なDropbox
    1. データ保護と災害復旧
    2. リモートワークと代替手段
    3. セキュリティ対策
  6. BCP対策サーバー導入から運用までのステップ
    1. BCP計画の策定と現状分析
    2. サーバー対策の設計と実装
  7. まとめ

なぜ今、サーバーのBCP対策が必須なのか?

近年、自然災害やシステム障害、サイバー攻撃など、企業活動に影響を及ぼす脅威がますます多様化しています。
このような状況では、重要なデータを守りつつ、業務を止めないサーバーのBCP(事業継続計画)対策が必要不可欠です。

サーバーは、単なる情報の保管装置ではありません。
むしろ、事業を安定して続けるための中心的なインフラと言えます。そのため、BCPの目的や仕組みを理解することによって、企業がどのような準備をすればよいのか、その方向性がはっきりしてきます。

企業がBCP対策に取り組むべき理由と背景

自然災害やサイバー攻撃、感染症の拡大など、企業の業務を中断させるリスクは年々増えています。このようなリスクに備えることは、すでに「選択肢」ではなく「必須」の経営課題となっています。

例えば、災害が発生してもデータが保全されていれば、業務の早期再開が可能です。
BCP対策(事業継続計画)は、自社の生き残りだけでなく、顧客や取引先との信頼関係にも直結します。
また、法令遵守やブランド保護の観点からも、普段から体制を整えておくことが求められます。

災害や障害がサーバーに与える影響

地震や落雷、浸水、停電などの災害は、サーバーの稼働を一瞬で停止させる可能性があります。
サーバーがダウンすれば、業務システムが使えなくなり、取引・出荷・請求など企業活動の多くが停止します。

さらに、ネットワーク機器や電源設備の故障も連鎖的に発生し、復旧までに多大な時間とコストを要するかもしれません。
そのため、ハードウェアだけでなく、ネットワーク構成や電力系統を含めた「インフラ全体の耐障害性」を設計段階から考慮することが重要です。

BCP対策におけるサーバーの定義と範囲

BCP対策における「サーバー」とは、単に物理機器を指すものではありません。
業務継続に必要なデータやアプリケーションを保持・運用する「情報基盤全体」を指します。
そのため、OSやネットワーク、バックアップ環境、クラウドサービスなども含めた総合的な構成が求められます。

システムを多層的に設計し、障害発生時にも代替経路で運用を継続できるようにすることが重要です。
こうした柔軟な構成が、BCPの実効性を高める鍵となります。

IT-BCPとの違い

BCPは企業全体の業務継続を目的とした包括的な計画です。
一方、IT-BCP※1はその一部として、情報システムの早期復旧に焦点を当てた対策を指します。
BCPが「人・物・情報・拠点」を含む広範な計画であるのに対し、IT-BCPは「IT資産の継続利用」を中心に据えています。

両者を混同せず、全体計画とIT復旧計画を連動させることが重要です。
これにより、業務とシステムの両面から強固なBCP体制を構築できます。

※1 IT-BCP:自然災害、サイバー攻撃、システム障害などが発生した際に、ITシステムを継続して運用・復旧させるためのITシステムの事業継続計画のこと。

BCP対策サーバーの種類と選び方

BCP対策サーバーには、企業の規模や運用体制に合わせて選べる複数の構成があります。
代表的なのが、オンプレミス型・クラウド型・ハイブリッド型の3形態です。

それぞれに長所と短所があり、企業の規模や計画に合わせて、コストや柔軟性、復旧速度などの要素を検討していきます。
この章では、3つの構成の特徴と選定のポイントを整理します。

3つのサーバーの特徴とは

オンプレミス型は、自社内にサーバーを設置して運用する方式で、セキュリティやカスタマイズ性に優れます。
一方、クラウド型はインターネット経由で外部サービスを利用するため、初期コストを抑えつつスケーラビリティを確保できます。
両者の特性を組み合わせたハイブリッド型は、重要データをオンプレミスで保管しつつ、バックアップや一部処理をクラウドに委ねる柔軟な運用が可能です。

企業のBCP方針や業務特性に応じて、これらを組み合わせることが求められます。

具体的な3つのBCP対策

BCP対策では、サーバーの冗長化やデータレプリケーション、バックアップ体制の整備が中心となります。
オンプレミス環境では、二重化構成やUPS(無停電電源装置)の導入が大切です。
クラウド環境では、地理的に分散されたデータセンターを利用することで、災害時のリスクを軽減できます。

また、ハイブリッド構成を採用する場合、通常運用はオンプレで行い、障害発生時にはクラウドへ自動切替を行うといった柔軟な設計が可能です。
これにより、システムの可用性を高め、復旧時間を短縮できます。

サーバー選定のチェックリスト

サーバー選定では、可用性(稼働率)・拡張性・セキュリティ・運用コストの4つが重要な比較軸となります。
特に、データの復旧時間や障害対応力など、BCP視点の評価項目を加えることが効果的です。

例えば、バックアップ体制の強度や、障害発生時に自動で切り替わる冗長構成があるかどうかを確認します。
これらをチェックリスト化し、担当部門や経営層が共通理解を持つことで、導入後のトラブルや認識の齟齬を防ぐことができます。

コストと効果のバランスを考える

BCPサーバーは、単に高性能であれば良いというものではありません。初期投資・月額費用・人件費・保守費用をすべて含めた「総コスト」で評価することが重要です。
その上で、復旧時間の短縮や業務停止リスクの低減といった効果を数値化し、ROI(投資対効果)を算出します。

例えば、数時間の業務停止がどれだけの損失を生むかを試算すれば、必要な投資額の妥当性が明確になります。
費用と効果のバランスを取ることで、長期的に持続可能なBCP環境を構築できます。

専門家への相談と導入支援

BCP対策は、システムの選定から構築・運用まで幅広い知識が求められます。
そのため、社内だけで判断せず、専門家やクラウドベンダーの知見を活用することが効果的です。
特に、初期設計段階で専門家の助言を受けることで、リスク想定や復旧目標の設定が具体化します。

さらに、導入後も定期的な見直しやシミュレーションを行うことで、環境変化に対応した柔軟な体制を維持できます。
BCPは一度整えたら終わりではなく、継続的に改善を重ねていく取り組みである点を忘れてはいけません。

BCP対策の要!サーバーの役割と実現する技術

BCPを実効性のあるものにするためには、単にバックアップを取るだけでなく、復旧時間やデータ損失の許容範囲を明確に定義することが重要です。
サーバーは、これらの復旧目標を達成するための中核的な役割を担います。

レプリケーションやバックアップ、ディザスターリカバリー(DR)※2といった技術を適切に組み合わせることで、企業は災害や障害時でも迅速に業務を再開できます。

※2 レプリケーションやバックアップ、ディザスターリカバリー(DR):どれもデータ保護と事業継続のための重要な技術。レプリケーションは高可用性、ディザスターリカバリーはシステムを復旧させ、事業の損失を最小限に抑え、事業を継続させる「体制と計画全体」を指す。

RPO目標復旧時点とRTO目標復旧時間の設定

RPO(Recovery Point Objective)※3は、データ損失をどの時点まで許容できるかを示す指標です。
例えば、「直近1時間分のデータまで復旧可能」と定義すれば、1時間単位でバックアップを取る設計が必要になります。

一方、RTO(Recovery Time Objective)※4は、システム停止から復旧までに要する時間を指します。
この時間を短くするほど、事業への影響を抑えられます。
RPOとRTOは、BCPサーバー設計の最重要要素であり、業務内容やデータ重要度に応じて現実的な目標を設定することが欠かせません。

※3 RPO(Recovery Point Objective):システム障害が発生した際に、過去のどの時点までのデータを復旧させるかという「目標復旧時点」のこと。

※4 RTO(Recovery Time Objective):災害やシステム障害が発生した際に、「いつまでに事業やシステムを復旧させるか」という目標時間を定めたもの。

リアルタイムレプリケーションと同期バックアップ

リアルタイムレプリケーションは、稼働中のデータを常に別サーバーに複製し、障害発生時にも即時切り替えを可能にする技術です。
これにより、業務データの損失を最小限に抑えられます。

また、定期的な同期バックアップを併用すれば、万一レプリケーション元に異常が発生しても、過去の安全な状態へ復元できます。
両者を組み合わせた多層防御設計※5により、システムの信頼性を高めることができます。
特に金融や物流など、ダウンタイムが許されない業種では必須の仕組みです。

※5 多層防御設計:複数のセキュリティ対策を重ね合わせることで、単一の防御策が破られても他の層で攻撃を食い止め、被害を最小限に抑える手法。

ディザスターリカバリー(DR)サイトの構築

ディザスターリカバリー(Disaster Recovery)サイトは、災害発生時に業務を引き継ぐための代替データセンター(代替の拠点として使用される設備や施設)です。
地理的に離れた場所にサーバーを設置し、災害リスクを分散させることが目的です。

遠隔地のデータセンターを活用することで、地震や停電といった広域障害にも耐えられる構成が実現します。
さらに、仮想化技術を導入すれば、ディザスターリカバリーサイト上に短時間で代替環境を立ち上げることも可能です。

これにより、復旧時間を大幅に短縮し、業務中断の影響を最小限に抑えることができます。

インフラBCPを補完するデータ保護の重要性

ここまではサーバー自体のBCP対策を解説してきました。
しかし、同じくらい大切なのが「データの保護」と「場所を選ばないアクセス体制」を整えることです。
これらの課題を補う手段としては、Dropboxの活用が効果的です。

また、サーバー構成に依存しないデータ保護体制を整えることで、災害時の復旧速度を向上できます。
事業継続を実現するためには、インフラBCPに加えて、堅牢なデータBCPを組み合わせることが欠かせません。
次の章では、Dropboxの有効性について解説します。

BCP対策に有効なDropbox

Dropboxは、クラウドストレージとしての機能だけでなく、企業向けの高度なセキュリティ機能と管理機能を提供しており、データ保護と事業継続計画(BCP)を同時に実現できるプラットフォームとして、多くの企業から注目されています。

 オンプレミス環境のように物理的な損壊リスクがなく、インターネット接続さえ確保できればどこからでも業務を再開できます。
さらに、データの自動同期や高度なセキュリティ設計により、BCPの重要要素である「迅速な復旧」と「情報保護」を高いレベルで両立します。

データ保護と災害復旧

Dropboxの強みは、データの自動同期と履歴管理機能にあります。
ローカルでファイルを更新すると、即座にクラウド上にも反映されるため、災害発生時でも最新状態のデータを復旧できます。
次にいくつかのデータの復旧方法を紹介しましょう。

単一ファイルの巻き戻しはバージョン履歴、多数の変更やランサムウェア被害にはDropbox Rewind※6を利用します。削除したファイルは『削除済み』から復元可能です。
そして、「Dropbox Backup」※7により 、PC や対応する外付けドライブをバックアップし、必要に応じて復元できます(復元方法については関連リンクをご覧ください)。

こうした多層的なバックアップ設計は、BCP対策の中心的な仕組みとして非常に有効です。

※6 Dropbox Rewind:フォルダまたはアカウント全体を、過去の特定の時点のデータに一括で戻すことができる機能。

※7 Dropbox Backup:パソコンや外付けハードドライブ上のファイルやフォルダをクラウドに自動でバックアップする機能。

関連リンク:Backup の復元方法

関連リンク:Dropbox Rewind を使用する

関連リンク:Dropbox Backup でファイル/フォルダを復元

リモートワークと代替手段

災害や障害によりオフィスが使えなくなっても、Dropboxを活用すれば業務を止めずに継続できます。
インターネット環境さえあれば、社員は自宅やサテライトオフィスから安全にデータへアクセス可能です。

閲覧やコメントは共有リンクで、リアルタイム共同編集は Dropbox Paper や Office 連携で行います。
これにより、災害発生後もチームの連携が途切れず、BCPで求められる「早期の業務再開」を現実的に実現できます。

セキュリティ対策

Dropboxは、通信時と保存時の暗号化、アクセス管理などの多層的なセキュリティにより保護されています。
企業向けプランでは、SSO(シングルサインオン)対応により認証を統一でき、管理負荷を軽減できます。

また、アクセス制御や監査ログ機能を利用すれば、ファイルの操作履歴を詳細に追跡可能です。
これにより、情報漏えいや不正アクセスを未然に防ぎつつ、BCP体制を支える安全なクラウド環境を構築できます。

関連リンク:Dropbox Paper:変更の追跡/復元

関連リンク:SSO を有効にする(管理者)

BCP対策サーバー導入から運用までのステップ

BCPサーバーの導入を成功させるには、単発的な構築ではなく、計画・設計・運用という3段階で体系的に進めることが重要です。
現状を正確に把握し、復旧目標に沿った設計を行い、実運用で検証と改善を重ねることで、実効性のあるBCP体制が確立します。

以下に、導入から運用までの具体的ステップを簡単に示します。

BCP計画の策定と現状分析

まず、自社の業務プロセスを整理し、どのシステムが業務継続に不可欠かを明確にします。
各システムの停止による影響度を評価し、優先順位を設定することが最初のステップです。

次に、現行サーバー環境の脆弱性を分析し、どの箇所が障害時にボトルネックとなるかを特定します。
例えば、バックアップの取得頻度が低すぎる場合や、電源系統の冗長化が不足している場合などが挙げられます。

こうした分析をもとに、改善ポイントを明確にしたBCP計画を策定します。

サーバー対策の設計と実装

計画で定義した復旧目標(RTO・RPO)を基に、サーバーの構成を設計します。
データ冗長化やバックアップの自動化、DRサイトの設置など、目標を達成するための具体的施策を盛り込みます。
設計段階では、実際の運用条件を想定したシミュレーションを行い、現実的な復旧手順を確認することが重要です。

その後、テスト運用を通じて問題点を洗い出し、調整を加えながら本番運用へ移行します。
導入後も定期的なテストを実施し、実際に計画通り「BCP」が機能しているかどうかを確認することが大切です。

まとめ

BCP対策は、単なるバックアップや一時的な災害対策ではなく、企業が継続的に業務を行うための戦略的な仕組みです。
サーバーはその中心的な役割を担い、データ保護・システム復旧・業務継続のすべてを支えます。
オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど多様な構成の中から、自社の業務特性に最適な仕組みを選ぶことが欠かせません。

また、Dropboxのようなクラウドサービスを活用すれば、災害時でもデータの保全と迅速な復旧が可能になります。
社員がどこにいてもアクセスできる環境を整えることで、非常時の代替手段としての柔軟性も確保できます。

最も重要なのは、BCPを「一度作って終わり」にしないことです。定期的に計画を見直し、技術やリスク環境の変化に合わせて改善を続けることで、企業は不測の事態にも強い体制を維持できます。
将来を見据えたBCP対策が、企業の信頼と持続的な成長を支える土台となります。

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