Zoom Phoneの提供モデルとライセンスの種類、導入効果を解説
Web会議システム『Zoom』で高い認知度を誇る、Zoom Video Communications社は、2021年10月に、企業向け音声サービスとして『Zoom Phone』の提供を開始しました。
日本国内の正式リリースからわずか1年で、多くの企業・ユーザーが導入していると話題になっています。次世代のビジネスフォンとして、Zoom Phoneの導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、Zoom Phoneが提供するモデルやライセンスの種類、導入で期待できる効果を解説します。
なお、Zoom Phoneの機能や特徴については以下の記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.Zoom Phoneの提供モデル
- 1.1.①BYOCモデル
- 1.2.②Nativeモデル
- 2.Zoom Phoneのライセンス
- 3.Zoom Phoneの導入で期待できる効果
- 3.1.コスト削減
- 3.2.通信障害が発生しにくい
- 4.まとめ
Zoom Phoneの提供モデル
Zoom Phoneのライセンスを選定するにあたって、提供モデルは大きく2つに分けられます。
①BYOCモデル
1つ目のBYOC(Bring Your Own Carrier)モデルは、0ABJ番号(※1)やフリーダイヤル番号などで利用できるモデルです。
BYOCモデルには、2つの接続方法があり、違いは以下のとおりです。
▼BYOCモデルの接続方法
プレミスピア接続 |
クラウドピア接続 |
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概要 |
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電話番号 |
利用中の電話番号 |
VoIPプロバイダから提供される電話番号 |
料金請求元 |
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|
プレミスピア接続であれば、既存の通話環境を変えずにZoom Phoneが導入できます。従来の電話番号をそのまま利用できる点が特徴で、SBC(Session Border Controller:セッションボーダーコントローラー)と呼ばれるゲートウェイサーバー機器を介して接続することで実現します。
クラウドピア接続は、クラウドVoIPプロバイダを利用します。プレミスピア接続のように、オンプレミス設備が不要な点が異なります。
料金の支払い方法はどちらも2つに分かれているため、支払いの管理には注意が必要です。
※1・・・0ABJ番号とは、『0』から始まり10桁で成り立つ電話番号で、日本国内の固定電話に使用されている電話番号形式のこと。
※2・・・PBX(Private Branch Exchange)とは、電話交換機のこと。
※3・・・VoIP(Voice over Internet Protocol)とは、インターネットプロトコル(IP)という通信規格を使って、インターネット上で音声データを送受信する技術のこと。
②Nativeモデル
2つ目のNativeモデルは、0ABJ番号や0A0番号(※)を新たに取得することで利用できるモデルです。
ZoomがクラウドPBXとVoIPプロバイダを提供することで、SBCを介さずに接続できるため、新たにSBC接続に必要な機器を用意する手間も省けます。
また、通話料とPBXライセンス料は、どちらもZoomに支払うため、支払い先を分ける必要がなく管理しやすいという特徴もあります。
※0A0番号とは、IP電話特有の『050』から始まる電話番号形式のこと。
Zoom Phoneのライセンス
Zoom Phoneは、6つのライセンスから選択して利用します。
ライセンスによって、提供モデルや電話システム機能、含まれる電話番号などが異なるため、以下の表を参考にしてください。
▼Zoom Phoneのライセンス
種類 |
提供モデル |
電話システム機能 |
電話番号 |
外線発信 |
①Basic |
- |
内線通話のみ |
含まれない |
不可 |
②Pro |
BYOC/Native |
フルPBX機能 |
含まれない |
従量制 |
③Japan Regional Plan Metered |
Native |
フルPBX機能 |
日本向け0A0番号 |
従量制 |
④Japan Regional Plan Unlimited |
Native |
フルPBX機能 |
日本向け0A0番号 |
国内無制限(※2)
|
⑤Global Select Metered |
Native |
フルPBX機能 |
0ABJ番号/0A0番号(※1)
|
従量制 |
⑥Global Select Unlimited |
Native |
フルPBX機能 |
0ABJ番号/0A0番号(※1)
|
国内無制限(※2)
|
※1・・・40以上の国から1番号を選択
※2・・・定額対象通話のみ
Basicライセンスは、内線通話のみ対応しています。社外でも代表電話に対応できるようにしたい場合は、Proライセンス以降を利用します。
また、既存PBXと回線を残したい場合は、BYOCモデルの利用になるため、Proライセンスを選択します。この場合、SBCの設置が必要になるため、Zoom Phoneの導入に時間がかかるケースがあります。
利用するライセンスによっては、ヨーロッパや北米、南米など40以上の国と地域でサービスを提供しており、国際電話も可能です。
しかし、ライセンスの種類が多く、「どのライセンスがよいか分からない」という方もいるのではないでしょうか。ライセンスの選定や料金プランなどで不明点がございましたら、専門コンシェルジュへお気軽にご相談ください。
Zoom Phoneの導入で期待できる効果
Zoom Phoneを導入することで、以下のようなさまざまな効果が期待できます。
コスト削減
Zoom Phoneの大きな特徴として、PBXの導入費用や機器の保守管理費用などがかからない点が挙げられます。
▼Zoom Phone導入によるコスト削減
導入前 |
導入後 |
|
費用項目 |
|
|
表のとおり、自社内でPBXの運用を行う場合、電話機・PBXなどの導入費用がかかるだけでなく、維持するための保守管理費も負担になります。
しかし、Zoom Phoneの導入なら、電話機・PBXなどの導入は不要で、保守管理費用や電話の基本料金・通話料はZoom Phoneに集約されるため、コスト削減につながります。
通信障害が発生しにくい
Zoom Phoneは、インターネット接続で利用できるクラウドPBXサービスのため、自然災害やサイバー攻撃などが原因で通信できなくなる可能性もあります。
しかし、Zoomは世界中にデータセンターを展開しており、日本では東京と大阪に設置されています。多数あるデータセンターが相互に補い合うことで、トラブル発生時でも通信障害が発生しにくい仕組みです。
長時間のダウンタイムを防止できれば、事業継続を実現して損失を最小限にとどめられます。
なお、Zoom Phoneを導入するメリットには、安全性の高さや操作性の高さなどもあります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、Zoom Phoneについて以下の内容を解説しました。
- Zoom Phoneの提供モデル
- Zoom Phoneのライセンス
- Zoom Phoneの導入で期待できる効果
Zoom Phoneには、6つのライセンスがあり、接続方法や利用する電話番号などによって、自社の利用に適したライセンスを選択できます。ライセンスによって、40以上の国と地域でサービスを提供しているため、海外に拠点・取引先がある企業も利用しやすいサービスです。
Zoom Phoneは、審査をクリアして、『Zoom Phone認定インテグレーター』として認定を受けた企業のみが販売を許可されています。認定審査には、過去のVoIP導入に対する顧客の推薦コメントの提出や、各業務のトレーニング、Zoomへのデモ実演などがあり、クリアできた企業は日本国内で10社程度にとどまります。(2023年3月現在)
導入をご検討の際は、ぜひ、Zoom認定ディストリビューターのSB C&S株式会社にご相談ください。
ソフトバンクグループ企業のSB C&S株式会社が運営する『Cloud Service Concierge』では、SaaS業界のサービスに精通した専門チームが、ツールの無料選定や導入支援サービスを承っております。Zoom Phoneをはじめ、さまざまなツールから貴社に必要なSaaS製品のご提案が可能です。
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