
AI導入の進め方とは?AIツールの導入支援をするCSCがおすすめする失敗しないための手順と社内活用のポイント
「経営層からAIの全社導入を指示された」「現場の各部門からAIを業務で使いたいという要望が増えている」など、AIの社内導入をどのように進めるべきか悩んでいる情報システム部門(以下、情シス)やDX推進担当者もいるのではないでしょうか。
AIを効果的に活用するためには、ツール選定から始めるのではなく、まず「何を目的に、どの業務へ適用するのか」を整理することが重要です。
併せて、情報漏えいのリスクを防ぐためのルールや運用体制も検討する必要があります。
AIには予測AIや画像認識AI、生成AIなどさまざまな種類があります。
この記事では、企業へのAIツールの導入を支援しているCloud Service Concierge(CSC)が企業で活用が広がっている生成AIを中心に、導入前に整理すべき項目や基本的な進め方、安全かつ継続的に活用するためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- ・AI導入が注目される背景
- ・AI導入でよくある4つの失敗パターン
- ・ツール選定前に整理すべきAI導入の5項目
- ・AI導入を段階的に進める6つのステップ
- ・STEP1|AIの適用範囲と対象業務を整理する
- ・STEP2|PoCの計画と試行時のルールを決める
- ・STEP3|特定の業務・部門で小さく試す
- ・STEP4|効果を測定し、運用方法を見直す
- ・STEP5|有効性が確認できた方法を共有し、本格運用のルールを整備する
- ・STEP6|全社・他部門へ展開し、定着を図る
- ・AIツールを選定する際の基準
- ・AI導入時に情シスが確認すべきセキュリティと運用ポイント
- ・入力データ・個人情報の取り扱いを確認する
- ・権限管理・利用ログとインシデント対応の体制を整える
- ・著作権・知的財産権に配慮する
- ・契約条件・利用規約を確認する
- ・人による確認と責任範囲を明確にする
- ・社内教育とITリテラシーの向上を図る
- ・必要に応じてベンダーサポートを活用する
- ・AI活用の社内定着を進めるポイント
- ・まとめ
AI導入が注目される背景
近年、生成AIの普及や人手不足を背景に、業務効率化や生産性向上を目的としたAI導入が注目されています。
特に生成AIは、文章作成や要約、情報整理など、これまで人が行っていたさまざまな業務を支援できます。
また、自然言語で指示できるサービスも多く、専門的な知識がなくても業務に取り入れやすくなったことも、AI活用が広がっている理由の一つです。
一方、企業がAIを本格的に活用するためには、ツールを導入するだけではなく、「どの業務で、何のためにAIを使うのか」を明確にすることが重要です。
あわせて、利用ルールや情報管理、運用体制などを整備し、自社の目的や業務に合った形で導入を進めることが求められます。
AI導入でよくある4つの失敗パターン
AIはツールを導入するだけで成果につながるものではありません。
よくある失敗パターンを事前に把握しておくことで、社内展開でつまずくリスクを抑えやすくなります。
①目的や対象業務が曖昧なままツール選定が先行している
「話題のAIツールだから、とりあえず導入してみよう」と、目的や対象業務を整理せずにツール選定を進めると、現場での使いどころが定まらず、期待した効果を確認できないことがあります。
目的が明確でないまま現場へ展開しても、従業員は「何に使えばよいのか」が分からず、数回試しただけで利用されなくなるケースも少なくありません。
また、部門ごとに異なる目的で利用が始まると、活用方法が統一されず、導入効果を評価しにくくなります。
まずは「どの業務を改善したいのか」「どのような成果を目指すのか」を明確にしたうえで、ツールを選定することが重要です。
②業務プロセスに組み込めていない
一部のITリテラシーが高い社員だけが個人的に活用し、チーム全体の業務改善につながっていないケースです。
AIを導入しても、議事録の作成手順や稟議の申請フローなど、既存の業務プロセスに適切に組み込まれていなければ、組織全体での効果は期待しにくくなります。
例えば、AIで議事録の下書きを作成しても、その後の体裁調整や別システムへの転記に多くの時間がかかる場合、業務全体で得られる効率化の効果は限定的になります。
AIを利用する工程だけでなく、その前後の確認・修正・共有まで含めて業務フローを設計することが重要です。
③利用ルールやガバナンスが整備されていない
明確なガイドラインがないまま利用を進めると、従業員が機密情報や個人情報を、会社が許可していない外部の生成AIサービスへ入力してしまうリスクが高まります。
このような利用は、情シスが把握・管理できない「シャドーIT」につながり、機密情報の流出や利用状況を追跡できない事態を招くおそれがあります。
また、利用できるAIツールや入力してよい情報の範囲が部署ごとに異なると、運用が属人化し、管理が難しくなります。
利用ルールや確認フローを整備し、全社で共通の運用基準を設けることが大切です。
④効果測定や改善が行われていない
導入後に「どの程度業務が効率化されたのか」「費用に見合う成果が得られているのか」を確認していないケースもあります。
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定して継続的に効果を測定することで、追加予算の確保や他部門への展開に向けた判断材料として活用できます。
効果測定では、作業時間の削減率や利用率、利用者アンケートなど、定量・定性の両面から評価すると改善点を把握しやすくなります。
結果を踏まえて運用方法や対象業務を見直すことで、継続的な活用につなげられます。
ツール選定前に整理すべきAI導入の5項目
AI導入を成功させるためには、最初にツールを比較・選定するのではなく、「どの業務課題を解決したいのか」「どの部門で活用するのか」を整理することが重要です。
目的が曖昧なままツールを導入すると、現場で利用が定着しないだけでなく、期待した効果を得られない可能性があります。
まずは、次の項目を整理したうえで、導入するAIや運用方法を検討するとよいでしょう。
整理項目 | 確認する内容 |
業務課題 | AIで何を改善したいのか |
対象部門 | どの部署・業務から導入するのか |
利用データ | AIへ入力するデータの種類 |
セキュリティ要件 | 機密情報・個人情報の取り扱い、利用ルール |
KPI | 効果をどのように評価するか |
解決すべき業務課題を整理する
まずは、「何のためにAIを導入するのか」を明確にします。
AIは万能ではなく、業務課題によって適した活用方法が異なります。
例えば、次のように課題を具体化すると、導入目的を整理しやすくなります。
● 営業部門:提案書や営業メールの作成時間を短縮したい
● カスタマーサポート部門:問い合わせ対応の負担を軽減したい
● 人事部門:求人票や社内文書の作成を効率化したい
● 総務部門:社内問い合わせへの回答を効率化したい
課題が具体的になるほど、AIで効率化できる業務や期待できる効果を明確にしやすくなります。
対象部門と対象業務を決める
全社へ一斉導入するのではなく、まずは効果が見込める部門や業務を選定します。
文章作成や要約などAIとの親和性が高い業務は、導入効果を確認しやすく、PoC(Proof of Concept:概念実証)の対象にも適しています。
一方で、判断業務や承認業務など、人による確認が欠かせない業務は、AIが支援する範囲をあらかじめ整理しておくことが重要です。
利用するデータとセキュリティ要件を整理する
AIへ入力するデータの種類によって、求められるセキュリティ対策は大きく変わります。
例えば、公開情報のみを扱う場合と、顧客情報や契約情報、社内の機密情報を扱う場合では、利用できるAIツールや運用ルールも異なります。
併せて、次のような項目も整理しておくことが重要です。
● 入力してよい情報・禁止する情報
● 入力データや出力データの保存期間・削除方法
● 入力データがモデルの学習に利用されるか
● 利用者や権限の管理方法
● 利用状況や操作履歴を確認できるか
● 自社のセキュリティポリシーや契約条件に適合しているか
導入前に基本的な運用ルールを決める
生成AIの試行を始める前に、誰が、どの業務で、どのように利用するのかを決めておく必要があります。
最低限のルールを事前に定めることで、部署や担当者ごとの利用方法のばらつきや、管理外での利用を防ぎやすくなります。
例えば、次のような内容を整理しておくと、導入後の運用を円滑に進められます。
● 利用できるAIツール
● 推奨プロンプト(テンプレート)
● AIが作成した内容の確認フロー
● 利用時の注意事項
● 問い合わせ窓口
導入効果を測るKPIを設定する
導入効果を客観的に評価するために、KPIを事前に設定します。例えば、次のような指標があります。
● 提案資料や議事録の作成時間
● 問い合わせの一次回答にかかる時間
● 対象者の利用率・継続利用率
● 出力内容の修正回数や誤りの発生件数
● 利用者の満足度・使いやすさに関する評価
目標値は一律に設定せず、導入前の実績や対象業務の状況を基に決めることが重要です。
AI導入を段階的に進める6つのステップ
導入前の整理が終わったら、実際にAI導入を進めます。
ここでは、事前に決めた内容を基に、小規模な検証から始めて、効果を確認しながら段階的に展開します。
STEP1|AIの適用範囲と対象業務を整理する
まずは推進担当者自身が、AIの得意なことと苦手なことを正しく把握します。
そのうえで、事前に整理した業務課題に対して、AIでどこまで対応できるのか、人による判断が必要な業務は何かを整理し、活用方針を検討します。
STEP2|PoCの計画と試行時のルールを決める
PoCを実施する対象部門や対象業務、実施期間、担当者、評価方法などを決定します。
併せて、利用するサービス、入力してよい情報、出力内容の確認担当者など、試行時に必要な最低限のルールを定めます。
検証範囲と評価基準をあらかじめ決めておくことで、目的がぶれにくくなります。
STEP3|特定の業務・部門で小さく試す
導入計画に沿って、特定の部門や業務で小規模なPoCを実施します。
ここでは、選定したAIツールが実際の業務フローで活用できるか、期待した効果が得られるかを検証するとともに、利用者から操作性や使い勝手に関する意見を収集し、本格導入に向けた課題を洗い出します。
STEP4|効果を測定し、運用方法を見直す
PoCの期間中は、あらかじめ設定したKPIを基に導入効果を測定します。
「期待したほど作業時間が短縮されなかった」「現場から使いにくいという声が出た」といった課題が見つかった場合は、AIへの指示の出し方や業務フローを見直し、運用方法を改善します。
STEP5|有効性が確認できた方法を共有し、本格運用のルールを整備する
PoCで一定の有効性が確認できた活用方法や、再利用しやすいプロンプトのテンプレートなどを整理し、対象部門内で共有します。
同時に、情報漏えいを防ぐための利用ガイドラインや、ハルシネーションへの対応として人による最終確認フローなど、AIを安全かつ継続的に活用するための運用ルールを整備します。
STEP6|全社・他部門へ展開し、定着を図る
整備した運用ルールやPoCで得られた知見を活用しながら、他部門や全社へ展開します。
導入して終わりではなく、社内勉強会の実施やヘルプデスクの設置、利用状況の確認、運用ルールの見直しなどを通じて、現場で継続的に活用できる体制を整えることが重要です。
AIツールを選定する際の基準
AIツールを選定する際は、機能だけで判断するのではなく、セキュリティや管理機能、契約条件、費用なども含めて、自社の利用目的や運用体制に適しているかを確認することが重要です。主な選定基準として、以下が挙げられます。
選定基準 | 確認するポイント |
機能 | 利用したい業務に必要な機能が備わっているか |
セキュリティ | 入力データの保存や学習利用の有無、データの取り扱いが自社の基準を満たしているか |
管理 | ユーザーやアクセス権限、利用状況などを管理できるか |
契約 | 契約期間や利用条件、解約条件などが自社の利用方針に合っているか |
費用 | 初期費用や月額料金、従量課金などを含め、想定する利用規模に見合っているか |
連携 | 既存の社内システムやSaaSなどと連携できるか |
サポート | 問い合わせ窓口や導入・運用時のサポートが用意されているか |
これらの項目に優先順位をつけて複数のツールを比較することで、機能面だけでなく、安全性や運用負荷、費用対効果も踏まえて自社に適したツールを選定しやすくなります。
AI導入時に情シスが確認すべきセキュリティと運用ポイント
最後に、組織としてAIを安全に運用するために、情シスが確認しておきたいセキュリティと運用面のポイントを紹介します。
入力データ・個人情報の取り扱いを確認する
従業員が入力したプロンプトやデータが、どこに保存され、どの程度の期間保持されるのか、AIモデルの学習に利用されるのかを確認することが重要です。
特に、顧客や従業員の氏名、連絡先などの個人情報を扱う場合は、サービス側でのデータの取り扱いに加え、自社の個人情報保護方針や社内規程に沿って利用できるかを確認する必要があります。
また、入力してよい情報と禁止する情報を明確にし、必要に応じて匿名化やマスキングを行うなど、個人情報や機密情報を不用意に入力しないためのルールを整備することも大切です。
権限管理・利用ログとインシデント対応の体制を整える
AIツールを組織で利用する場合は、利用者やアクセス権限を適切に管理するとともに、「誰が、いつ、どのサービスを利用したか」など、必要な利用状況を確認できる仕組みを整えることが重要です。
入力内容まで記録する場合は、従業員のプライバシーや記録データ自体の機密性にも配慮します。
併せて、情報漏えいや不適切なデータ入力などのインシデントが発生した場合に備え、報告先や対応責任者、AIツールの利用停止、影響範囲の確認、原因調査などの対応手順を定めておく必要があります。
利用ログの確認方法やベンダーへの連絡窓口なども把握しておくことで、問題発生時に対応しやすくなります。
著作権・知的財産権に配慮する
生成AIを業務で利用する際は、入力するデータと生成されたコンテンツの双方について、著作権や知的財産権への配慮が求められます。
第三者が著作権を持つ文章や画像などを入力する場合は、利用条件や権利関係を事前に確認することが大切です。
また、生成物を社外向けの資料や広告などに利用する場合は、既存の著作物と類似していないかを確認するなど、用途に応じた確認フローを設けます。
契約条件・利用規約を確認する
AIツールを導入する際は、機能やセキュリティだけでなく、契約条件や利用規約も確認します。
データの保存期間や学習利用の有無、契約終了後のデータの取り扱い、生成物の利用条件などを把握し、自社の利用目的や情報管理方針に適しているかを判断することが重要です。
また、サービスの仕様や利用規約は変更される可能性があるため、変更内容を継続的に把握できる運用体制も整えておくと安心です。
人による確認と責任範囲を明確にする
生成AIの出力には、事実と異なる情報や不適切な表現が含まれる可能性があります。
社外向け文書、法務・財務に関する内容、顧客対応などでは、生成AIの出力をそのまま利用せず、担当者や責任者が確認するフローを設けることが重要です。
また、どの業務まで生成AIに任せ、どの段階で人が確認・承認するのかを明確にします。
出力内容に関する最終的な責任は人や組織が負うことを前提に、業務ごとの確認基準を整備しましょう。
社内教育とITリテラシーの向上を図る
ツールの導入や利用ルールの策定だけでは、安全なAI活用を定着させることは困難です。
AIの特性や情報セキュリティ、個人情報・著作権の取り扱いなどについて、従業員が理解できるよう社内教育を継続的に実施することが重要です。
また、利用ルールやサービスの仕様変更などに応じて教育内容を更新し、従業員が適切な方法でAIを利用できる環境を整えます。
必要に応じてベンダーサポートを活用する
自社だけで導入設計や運用体制の整備を進めることが難しい場合は、外部ベンダーの支援を活用する方法もあります。
ベンダーを選ぶ際は、導入実績だけでなく、セキュリティ対応、支援範囲、インシデント発生時の対応、導入後のサポート体制などを確認することが重要です。
初期設定や対象業務の整理、運用ルールの整備などについて支援を受けることで、社内で不足している知見やリソースを補いやすくなります。
AI活用の社内定着を進めるポイント
AI活用を社内へ定着させるためには、ツールを導入するだけでなく、従業員が日常業務で利用しやすい環境を整えることが重要です。
具体的には、以下のような取り組みが挙げられます。
● 部門別のユースケースを整理する:営業、人事、総務など、各部門の業務に合わせて具体的な活用方法を示す
● テンプレートを整備する:効果が確認できたプロンプトや入力フォーマットを共有し、誰でも活用しやすくする
● 研修を実施する:基本的な使い方や利用ルール、注意点などを学ぶ機会を設ける
● 相談窓口や推進役を設ける:利用時の疑問や課題を相談できる窓口を設け、各部門での活用を支援する
● 利用状況や成功事例を共有する:利用率や具体的な成果を把握し、効果的な活用方法を社内へ横展開する
こうした仕組みを整えることで、一部の社員だけがAIを利用する状態から、部門や組織全体で継続的に活用できる状態へ移行しやすくなります。
まとめ
AI導入を成功させるためには、ツール選定から始めるのではなく、自社の業務課題や導入目的を明確にし、対象業務・部門を整理することが重要です。
そのうえで、特定の業務や部門から小規模に導入し、効果を検証しながら段階的に活用範囲を広げることで、自社に適した運用方法を見極めやすくなります。
また、組織全体で安全かつ継続的に活用するためには、セキュリティ対策や利用ルール、人による確認フローなどの運用体制を整える必要があります。
加えて、著作権や個人情報の取り扱い、契約条件、インシデント発生時の対応なども事前に確認し、導入後の運用まで見据えた体制を構築することが大切です。
AI導入のゴールは、ツールを導入することではなく、現場で安全かつ継続的に利用され、業務改善につながる状態をつくることです。
導入前の準備から効果検証、運用・定着までを一連の取り組みとして進めることで、組織全体でAIを活用しやすい環境の構築につながります。
『Cloud Service Concierge』では、AIツールの導入に向けた無料相談を承っております。比較検討や課題整理など無料で実施していますのでお気軽にご相談ください。



