
ファイルサーバーのクラウド化とは?移行するメリット・デメリットと注意点を解説
総務省の『令和5年通信利用動向調査の結果(概要)』によると、令和元年からファイルサーバーをオンプレミス型からクラウド型に移行する企業が増えています。
この背景を受け、ファイルサーバーのクラウド化を検討し始めている担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ファイルサーバーのクラウド化に焦点を当て、需要が高まっている理由やメリット・デメリット、注意点についてご紹介します。併せて、クラウドファイルサーバーを導入する際の比較ポイントも解説しているため、ぜひ最後までご覧ください。
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目次[非表示]
- 1.ファイルサーバーのクラウド化とは
- 2.ファイルサーバーをクラウド化するメリット
- 2.1.①コストを抑えられる
- 2.2.②自社サーバーの管理の手間を省ける
- 2.3.③リモートワークでも使いやすい
- 2.4.④ストレージ追加が行いやすい
- 2.5.⑤災害時のバックアップとして利用できる
- 3.ファイルサーバーをクラウド化するデメリット
- 3.1.通信環境に影響を受けやすい
- 3.2.カスタマイズしにくい
- 3.3.運用方法の変更が必要な場合がある
- 4.ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点
- 4.1.アクセス制限を適切に設定する
- 4.2.運用ルールを定める
- 5.クラウドファイルサーバーの比較ポイント
- 6.まとめ
ファイルサーバーのクラウド化とは
ファイルサーバーのクラウド化とは、物理的なオンプレミス型のファイルサーバーから“インターネットを経由したクラウド型のファイルサーバー”へ移行することです。
総務省の『令和5年通信利用動向調査の結果(概要)』によると、ファイルサーバーをクラウド化する企業は令和元年から増えています。同調査結果では、一部でもクラウドサービスを利用している企業の割合が77.7%です。令和元年から推移が右肩上がりになっていることから、クラウドサービスそのものの需要の高まりが伺えます。
また、利用しているクラウドサービスとして最も多かったのは「ファイル保管・データ共有」であり、その割合は68.8%です。これらの結果から、多くの企業でファイルサーバーのクラウド化が進んでいることが分かります。
ファイルサーバーをクラウド化した場合、インターネット環境さえあればどこからでもファイルにアクセスできるため、社内はもちろん、自宅や取引先などの社外でも必要なデータを閲覧できます。
出典:総務省『令和5年通信利用動向調査の結果(概要)』
クラウド型とオンプレミス型の違い
ファイルサーバーには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があり、以下のような違いがあります。
▼クラウド型とオンプレミス型の違い
項目 |
クラウド型 |
オンプレミス型 |
サーバーの設置場所 |
サービス提供事業者 |
自社 |
初期費用 |
安価(無料の場合もある) |
サーバーの調達費・構築費がかかる |
ランニングコスト |
月額利用料がかかる |
光熱費や人件費、メンテナンス費がかかる |
インターネット |
必要 |
不要 |
カスタマイズ |
オプションの内容次第では設計・変更できる |
自由に設計・変更できる |
メンテナンス |
サービス提供事業者が対応 |
社内エンジニアが対応 |
ファイルサーバーのクラウド化が高まっている理由
ファイルサーバーのクラウド化が進んでいる理由として、新型コロナウイルス感染症の拡大によりリモートワークが普及したことが挙げられます。場所を選ばず、必要なファイルを必要なタイミングで閲覧・共有できる環境を構築するために、クラウド化が進んでいると考えられます。
実際に、総務省の『令和5年通信利用動向調査の結果(概要)』では、クラウドサービスを利用する理由として最も多かったのが「場所、機器を選ばずに利用できるから」であり、49.5%を占めています。
このほか、DXの推進や改正・電子帳簿保存法の施行など、社会全体のデジタル化も関係していると考えられます。
出典:総務省『令和5年通信利用動向調査の結果(概要)』
ファイルサーバーをクラウド化するメリット
ファイルサーバーをクラウド化することには、以下の5つのメリットがあります。
①コストを抑えられる
クラウド型のファイルサーバーは初期費用が安く、サービスによっては無料なこともあります。また、ランニングコストも基本的に月額利用料のみであるため、全体的なコストを抑えることが可能です。
さらに、クラウド型のファイルサーバーはインターネット環境さえあれば利用可能です。サーバーやストレージ、バックアップ用のハードディスクドライブなどの特殊な機材は不要なため、導入コストを抑えることができます。
②自社サーバーの管理の手間を省ける
ファイルサーバーをクラウド化した場合、自社サーバーは不要になるため、管理の手間を省くことができます。クラウド化したあともサーバーのメンテナンスは基本的にサービス提供事業者が行うため、管理に費やす時間を削減でき、浮いた分はコア業務に充てることが可能です。
③リモートワークでも使いやすい
オンプレミス型のファイルサーバーの場合、リモートワークでも使えるようにするにはVPN(※)が必須です。手間がかかるうえに、アクセスが集中すると通信速度が遅くなるという課題もあり、業務に支障が出る恐れがあります。
その点、クラウド型のファイルサーバーは、インターネット環境さえ整っていれば従業員がどこからでも自由にアクセスできます。VPNの必要がなく、アクセスの集中による速度低下の可能性も低いため、円滑なリモートワークを実現することが可能です。
※VPNとは、インターネットを通じてネットワークに安全に接続するための技術のこと。
④ストレージ追加が行いやすい
クラウド型のファイルサーバーは、プランの変更やストレージの追加によって自由に拡張できます。もし従業員が増えてサーバーの容量が足りなくなったとしても迅速に対応することが可能です。
⑤災害時のバックアップとして利用できる
クラウド型のファイルサーバーの場合、ファイルやデータをすべてインターネット上のサーバーに保管します。そのため、仮に災害が起きてもデータが破損・消失するリスクを低減することが可能です。
ファイルサーバーをクラウド化するデメリット
ファイルサーバーをクラウド化することにはデメリットもあります。
通信環境に影響を受けやすい
クラウド型のファイルサーバーは通信環境の影響を受けやすく、インターネットの接続が不安定だと使いにくくなります。
大きな通信障害が起きた場合にはアクセスすらできなくなり、業務に支障が出ることもあります。そのため、ファイルサーバーをクラウド化する際は、安定したインターネット回線を構築することが重要です。
カスタマイズしにくい
クラウド型のファイルサーバーはパッケージ化されていることが多く、自社のニーズに基づいてカスタマイズしにくい傾向にあります。
ただし、サービスによってはパッケージをカスタマイズできる場合もあるため、クラウド化を検討する際に確認しておくことをおすすめします。
運用方法の変更が必要な場合がある
オンプレミス型のファイルサーバーとクラウド型のファイルサーバーでは、ファイルサーバーの操作方法が異なります。そのため、クラウド化を進めるにあたって運用方法を変更しなければならないことがあります。
場合によっては従業員がクラウド型のファイルサーバーの操作になかなか慣れず、重要なデータを誤って削除したり機密書類をアップロードしたりといったミスが起きやすくなります。
ファイルサーバーをクラウド化する際は、従業員が簡単に操作できるサービスを選ぶと同時に、運用方法や操作方法の研修を行うことが重要です。これにより、運用方法が変更になってもミスが起きるリスクを低減できます。
ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点
ファイルサーバーをクラウド化する際は、以下の点に注意が必要です。
アクセス制限を適切に設定する
ファイルサーバーをクラウド化する際、オンプレミス型で設定したアクセス権限までは移行されません。そのため、改めてアクセスできるユーザーや端末を設定し直す必要があります。また、IDやパスワードなど、セキュリティ対策も設定し直さなければなりません。
運用ルールを定める
クラウド型のファイルサーバーはどこからでも自由にアクセスできる一方で、情報漏えいや不正アクセスのリスクを持ち合わせています。このリスクを回避するためには、あらかじめ運用ルールを定めることが重要です。
具体的には、アクセス制限やデバイス制限を設定したり、認証システムと連携したり、危険な通信経路からのアクセスを禁じたりするのが一例です。利便性とセキュリティの観点からルールを定めることをおすすめします。
クラウドファイルサーバーの比較ポイント
クラウド型のファイルサーバーを導入する際は、以下のポイントを基に各サービスを比較してみてください。
▼クラウドファイルサーバーの比較ポイント
比較ポイント |
内容 |
セキュリティ |
セキュリティ機能は充実しているか
セキュリティ機能が自社のセキュリティポリシーに適合するか
|
操作性 |
誰でも使える操作性かどうか
直観的な操作ができるか
|
料金 |
プランごとの料金はいくらか
総じてどれくらいの料金がかかるのか
|
サポート体制 |
サポート範囲はどこからどこまでか
どのようなサポートを行ってくれるか
|
それぞれの項目と自社の要件を組み合わせて、目的に沿ったクラウド型のファイルサーバーまたはプランを選ぶことが大切です。
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分かりやすく自然な操作性と効率的で高速なファイル同期により、チームの生産性と管理性を両立できます。また、業界最高レベルの暗号化、2段階認証、アクセス制限など、企業にとって必要なセキュリティ機能を備えているため、情報漏えいや不正アクセスのリスクを最小限に抑えられます。
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まとめ
この記事では、ファイルサーバーのクラウド化について以下の内容を解説しました。
- ファイルサーバーのクラウド化とは
- ファイルサーバーをクラウド化するメリット
- ファイルサーバーをクラウド化するデメリット
- ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点
- クラウドファイルサーバーの比較ポイント
ファイルサーバーのクラウド化は、社会全体のデジタル化に適応するうえで、そして快適なリモートワークを実現するうえで必要な取り組みです。
今回ご紹介したメリット・デメリット・注意点と自社の要件を照らし合わせて、目的や用途に応じたクラウド型のファイルサーバーを導入してみてください。
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