
研究データ管理を効率化!GakuNin RDMとDropboxの連携で研究環境が進化する(後編)
研究データの管理に悩む研究者や大学のIT担当者は多いのではないでしょうか。近年、オープンサイエンスの潮流と共に、研究データを適切に管理・共有・保存することの重要性がますます高まっています。前編に引き続き、後編の本記事では、国産の研究データ管理基盤「GakuNin RDM」の、拡張ストレージとしての「Dropbox」連携について詳しく解説します。
参考:GakuNin RDM公式サイト (国立情報学研究所)
参考:GakuNin RDM サポートポータル
Dropboxを拡張ストレージとして活用する利点
日本における大学コミュニティで圧倒的な実績を持つDropboxですが、近年、GakuNin RDMの拡張ストレージとしての利用も増えてきました。その理由と具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。
Dropboxの基本機能と特長
Dropboxは単なるストレージサービスではなく、ファイル共有とコラボレーションに特化したプラットフォームへと進化しています。このため、複数の研究者が共同でデータを扱う研究現場と相性が良いです。
1.直感的なユーザーインターフェース
• シンプルなフォルダ構造による分かりやすいファイル管理
• ドラッグ&ドロップによる簡単な操作性
• モバイルアプリを含む様々なデバイスからのアクセス
2.高度な同期機能
• 差分同期技術による効率的なファイル更新
• オフライン編集と自動同期機能
• 衝突解決機能による共同作業の円滑化
3.バージョン履歴と復元機能
• ファイルの変更履歴の保存(無料プランで30日間、有料プランでより長期間)
• 削除ファイルの復元機能
• 誤操作や意図しない変更からの回復が容易
4.セキュリティ機能
• AES 256ビット暗号化によるデータ保護
• 二要素認証によるアカウント保護
• 管理者向けの詳細なアクセス管理機能(※Standardプラン以上)
5.共有と共同作業機能
• リンク共有による簡単なファイル配布
• フォルダ単位での共有設定
• コメント機能によるフィードバック
GakuNin RDMとDropboxの連携メリット
研究者はDropboxの使い勝手の良さを享受しながら、GakuNin RDMによる体系的なデータ管理のメリットも得られます。
特筆すべきは、Dropboxの同期エンジンの高性能さと、GakuNin RDMのメタデータ管理機能の組み合わせにより、研究データの使いやすさと管理性の両立が実現する点です。
1.使い慣れた環境の継続利用
• 使い慣れたWindows Explorerを経由して若手研究者のデータ教育、管理を実現
• 研究の継続性を保ちながら、管理基盤の強化が可能
2.二重管理の回避
• 同じファイルを複数の場所で管理する必要がなくなる
• データの不整合や更新漏れのリスク低減
3.多様なファイルタイプへの対応
• Dropboxは様々なファイル形式のプレビュー機能を提供
• 特殊な研究データフォーマットでも柔軟に対応
4.デバイス間の研究データアクセス
• 研究室のPC、自宅のコンピュータ、タブレットなど様々なデバイスからのアクセス
• 場所を選ばない研究活動の実現
教育研究現場でのDropbox活用事例
実際の教育研究現場では、以下のようなシーンでDropboxとGakuNin RDMの連携が効果を発揮しています
1.複数機関にまたがる共同研究プロジェクト
事例:A大学、B研究所、C企業の研究者が共同で進めるプロジェクトで、GakuNin RDMのプロジェクト機能とDropboxの共有フォルダを連携させることで、所属機関を超えたスムーズなデータ共有を実現。
メリット:アクセス権限の詳細な制御と、リアルタイムでのファイル同期の両立。
2.フィールド研究でのデータ収集と管理
事例:生態調査チームが現地でスマートフォンやタブレットを使ってDropboxに画像データをアップロード。それらのデータがGakuNin RDM上で自動的に整理され、メタデータ付与が可能に。
メリット:オフラインでの作業とオンラインでの同期の柔軟な切り替え。フィールドワークとデータ管理の効率化。
3.大規模な実験データの共有と分析
事例:大型実験施設で生成された測定データを、Dropboxを通じて研究室メンバーと共有。GakuNin RDM上でデータ間の関連付けや分析結果の管理を実施。
メリット:大容量データの効率的な転送と、体系的な実験記録の維持。
4.研究室の知識継承と学生指導
事例:研究室の過去のデータや資料をDropbox上で整理し、GakuNin RDMのプロジェクト機能で学生ごとのアクセス権を設定。学生の卒業後もデータの継続性を維持。
メリット:研究室の知的資産の蓄積と、学生の研究指導の効率化。
これらの事例から分かるように、Dropboxは特に「使いやすさ」と「共同作業の円滑化」の面で強みを発揮し、GakuNin RDMと組み合わせることで研究データのライフサイクル全体をサポートする強力なソリューションとなります。
研究者や学生にとって重要なのは、日常の研究活動の流れの中にGakuNin RDMとDropboxを自然に組み込むことです。特に、Dropboxの同期機能を活用すれば、普段使いのPCのフォルダ構造をそのままに、GakuNin RDMの管理機能を享受できるのが大きなメリットです。
参考:NIIオープンフォーラム発表資料「学術研究におけるクラウドストレージの活用とRDM連携」
参考:NIIオープンフォーラム2022 セッション概要
まとめ
GakuNin RDMとDropboxで実現する理想的な研究環境
研究データ管理の分野は、今後ますます重要性を増していくと予想されます。
1.オープンサイエンスの本格化
・公的資金による研究成果の公開義務化の拡大
・研究データの引用・評価システムの確立
・研究データそのものの学術的価値の向上
2.AIと機械学習の活用
・研究データの自動分類・整理技術の発展
・メタデータの自動付与による管理効率の向上
・データマイニングによる新たな知見の発見
3.国際連携の強化
・研究データ管理の国際標準化の進展
・国境を越えたデータ共有基盤の発展
・グローバルな研究協力の促進
4.研究評価の変革
・データ公開状況が研究評価の一要素に
・データ管理プラクティスの質が研究の信頼性評価に直結
・データ引用指標の重要性向上
このような環境変化の中で、研究機関や研究者が適切なデータ管理体制を構築することは、将来の研究活動の基盤となるでしょう。
研究データ管理は一朝一夕に完成するものではなく、組織と個人が共に学び、成長していくプロセスです。まずは小規模なパイロットプロジェクトから始め、徐々に範囲を広げていくアプローチが効果的といえます。研究データは研究者と研究機関の重要な資産です。GakuNin RDMとDropboxの連携によって、その価値を最大限に引き出し、研究力向上に貢献することが出来ると考えています。
GakuNin RDMとDropboxの連携に興味を持たれた方は、まずは無料トライアルから始めて、Dropboxの操作性を是非ご体感ください。
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